人と被らない香水が欲しい、万人受けの香りはもう飽きた。
そんな方に、真っ先にお勧めしたいのが『TOMFORD(トム・フォード)』のフレグランスです。
ファッションと並び、美と芸術を象徴する香水ですが、『TOMFORD(トム・フォード)』のフレグランスほどセンシュアルな香りは存在しないかもしれません。
TOM FORD(トム・フォード)と言えば、映画監督の経歴も持つ多才なファッションデザイナー。
過去に俳優を志していたり、建築を学んでいたりと、「魅せること」に長けている人物です。
アメリカ人であるTOMFORD(トム・フォード)は1994年、イタリア・ミラノに渡り、業績不振から倒産寸前だったグッチのクリエイティブ・デザイナーに就任。
その後の売上はなんと10倍になり、デザインの力でグッチを見事に復活させたトムフォードは天才デザイナーの名をほしいままにしたのでした。

彼が手がけるフレグランスはファッション同様、ハイエンドでゴージャスです。
ニューヨーク Meets ミラノ。
そんな「歴史とモードの融合」を図った香りのラインナップは、どれもハズレなしと呼び声の高いものばかり。
2020年10月23日に発売となった『TOMFORD(トム・フォード)』の最新作は、“桃”を主役にした「BITTER PEACH(ビター・ピーチ)」という名のオードパルファムです。
『TOM FORD(トム・フォード)』史上、最も官能的で確信犯的なその麗しい香りを徹底レビューしたいと思います。
「BITTER PEACH(ビター・ピーチ)」を嫌う人はいない。引き込まれるトップノートの秘密

BITTER PEACH(ビター・ピーチ)オードパルファム
トップノート:ピーチ、シチリア産ブラッドオレンジ、カルダモン、ヘリオトロープ
ミドルノート:ダバナ、ラム、コニャック、ジャスミン
ラストノート:サンダルウッド、ラブダナム、インドネシア産パチョリ、ベチバー、ベンゾイン、トンカビーン、バニラ、カシュメラン、スティラックス
発表年:2020年
対象性別:ユニセックス
まず「BITTER PEACH(ビター・ピーチ)」の香りのイメージですが、日本の甘くジューシーな白桃ではなく、海外のさっぱりとしたネクタリン香です。
肌にのせた瞬間から「BITTERPEACH(ビター・ピーチ)」の主役となるそのネクタリンの香りが漂い、ダイナミックなスタートを切ります。
ピーチと聞いて想像していたのは、むせるように甘くて、ボディクリームによくあるような合成的な香りでした。しかし、その固定概念は『TOMFORD(トム・フォード)』によって覆されます。
酸味も甘味もなく、リアルな果実の香りに開始から圧倒されるのです。

出典:『TOMFORD(トム・フォード)』ビューティー/公式インスタグラムより
最初の印象は、果実味がありながらも全体的にキレがあってシャープ。
ピーチをここまで「ハンサム」に表現できるのか。。。と、『TOMFORD(トム・フォード)』マジックに早くも引き込まれてしまいそうになります。
「BITTER PEACH(ビター・ピーチ)」はユニセックスタイプのフレグランスなので、やはり中性的です。そのトップノートも女性的、男性的、とカテゴライズできるものではなく、ただただ夢のように心地よい香りにその身をゆだねたくなります。
と同時に、香水にこれほどまで「ワクワク感」を覚えたことはありません。
癖がなく、その上品で淡麗な果実の香りに、「これから何かが始まる」と期待せずにはいられないトップノートなんです。
ラム酒とコニャックが入り混じる官能ミドルノート
『TOM FORD(トム・フォード)』フレグランスの魅力は、いつもこのミドルノートにあります。
「BITTER PEACH(ビター・ピーチ)」の香りのピラミッドは比較的緩やかです。
他の香水のように、トップノートからラストノートまではっきりと変化するわけではありません。
香りの変化が少ない現代的なフレグランス、と言える作品なのですが、このシングルノートがいかにも『TOMFORD(トム・フォード)』らしく、フラットなのに非常に完成度の高いオードパルファムとなっているのです。
“生涯この一本で”と決める方が多いのもこのためでしょう。
「BITTER PEACH(ビター・ピーチ)」も今後、確実に名香と呼ばれるようになるはずです。
そして特記すべきは、中盤以降の感動的な芳しさです。

ビタースイートなラム酒とコニャックの香りが混ざって、「完熟ネクタリン」のふくよかさが完璧に表現されました。
それらが肌に溶け込むことで、熱を帯びたような、火照った肌のような色気が現れます。
身にまとうことで体温が増し、内側から満たされるような感覚。
女性がまとえば「うるおいあふれ、かぶりつきたくなるような麗しい香り」となり、男性がまとえば「女性に嫌悪感を抱かせない、安心感のある香り」と変身します。
ムスクやアンバーといった、本来なら「官能的」とされるアニマリックな香料を一切使わずに、果実の香りだけでこの官能性を表現しているところが『TOMFORD(トム・フォード)』の恐ろしいところです。
ふんわりジューシーなピーチではなく、あくまでもフォーマルなフルーティ・フローラルノート。
この中盤以降で覚醒する官能性は、嫌味がなくどこまでも上品で、どの人種からも好ましく思われるはずです。
もはや世界中を味方にできるような、完璧な、それこそ本物の「モテ香水」と言って良いでしょう。
性別も人種も超える香り
ラストノートでは大きな変化はないのですが、気候やまとう人の体温によってパチョリが強めに出たり、バニラが中心となったりします。
その消えかかった香りが実に色っぽく、「明日またつけるのが楽しみ」と思わせてしまうほど中毒性が高いものです。
もちろん中毒性があってこそ「官能的」と言えるので、そういった意味では本当に非の打ち所がない香水と言えます。
香料の層が厚くバランスが抜群。それでいて香水っぽい複雑さが少なく、ハイブランドらしい気品もあります。
人種、年齢、季節、文化、宗教、全て関係ありません。「好き」と思った方なら誰でも似合うはずです。
もはやこの香りに世界中の人が魂を奪われかねない、恐るべき魅力を持ったフレグランスなのです。

出典:『TOMFORD(トム・フォード)』ビューティー/公式インスタグラムより
しいて言うならば、「BITTERPEACH(ビター・ピーチ)」が似合うスタイルは、引き締まった肉体に細身のシルエット。
意外なことに、ワンピースやドレスよりパンツルックにしっくりきます。というのも、甘さを抑えた大人のネクタリン香が、マスキュリンな雰囲気にぴったりとマッチするからです。
オーガニックやミニマリズムとは対極にある香りなので、ここぞ!という勝負の時に身につけたい香り。
人生という舞台のなかで、自分を一番魅力的に見せたい時や、常に色気を身にまとっていたい方に特にお勧めです。
まとめ
『TOM FORD(トム・フォード)』のフレグランスはやはり、自分をより美しく「魅せること」を前提としています。
ひとたび「BITTERPEACH(ビター・ピーチ)」をまとえば、自分史上最高のおしゃれをして外に出かけたくなってしまうはず。
最小限で丁寧な生き方が主流となっている今、この香りはいささか反逆児的なフレグランスでもありますが、改めて「香水とは何か」を考えさせられるものです。
セクシーな香りが多い『TOMFORD(トム・フォード)』のなかでも、最も官能的な「BITTER PEACH(ビター・ピーチ)」。
それは桃という大衆的な果実をテーマにしながら、実に非凡な香りとなって私たちの前に現れました。
現実と非現実の間をさまようかのようなこの香り、お見事です。
ぜひ「BITTER PEACH(ビター・ピーチ)」を通して、『TOMFORD(トム・フォード)』フレグランスの真髄に触れてみて下さいね。
紛れもない香水の芸術性を味わうことができるでしょう!

