1921年にフィレンツェでスタートした『GUCCI(グッチ)』は、今年で創立100周年。
現在も世界屈指のラグジュアリーブランドとして君臨し続けています。
バッグ、靴、財布などの皮革商品をはじめ、服、アクセサリー、時計、香水などを幅広く手がけており、メンズ・レディース共に人気です。
特に『GUCCI(グッチ)』フレグランスはブランドに欠かせないアイテム。
グッチ・バイ・グッチ、フローラ、ギルティ、ザ・アルケミスト・ガーデン、バンブー、ブルームなど力作が多く、香りの分野においても注力していることが分かります。
2015年にアレッサンドロ・ミケーレがクリエイティブ・ディレクターに就任すると、それまで衰退を見せていた『GUCCI(グッチ)』が見事に息を吹き返します。

2019年には「GUCCI(グッチ)初のユニバーサル・フレグランス」として、ジェンダーや年齢に縛られないユニセックス香水「MEMOIRED’UNE ODEUR(メモワール・デュヌ・オドゥ―ル)」が発表されました。
日本語で「思い出の匂い」と名付けられたこのオードパルファムは、祖父母の記憶を呼び起こすような優しいカモミールの香りが特徴的です。
今回は、カモミールを主役にした世にも珍しい『GUCCI(グッチ)』の新作「MEMOIRE D’UNE ODEUR(メモワール・デュヌ・オドゥ―ル)」をレビューしたいと思います。
ローマンカモミール香る鮮烈なトップノート

MEMOIRE D’UNEODEUR(メモワール・デュヌ・オドゥ―ル)オードパルファム
トップノート:ローマンカモミール、ビターアーモンド
ミドルノート:ムスク、インド産ジャスミン
ラストノート:サンダルウッド、シダー、バニラ
2019年発表
調香師:アルベルト・モリヤス
対象性別:ユニセックス
ローマンカモミールとは白い花を咲かせるキク科の植物で、ヨーロッパに広く生息しています。日本ではハーブティーとして頻繁にブレンドされている香りです。
カモミールはギリシャ語で「地上のリンゴ」を意味していて、そのリンゴのような芳香から人々に親しまれてきました。
最初の数分間は薬草のような、純度100%の精油の香りがします。
ローマンカモミールの軽い甘さに、ビターアーモンドのほろ苦さ。
西欧に存在する昔ながらの秘薬のようなイメージです。多くの人がこのトップノートに面食らうかもしれませんが、この不思議な幕開けには吸い込まれそうになってしまうでしょう。
どんなに重ね付けしてもむせ返ることがありません。
さて、これは次に来る「好感度抜群」なミドルノートの引き立て役とも言えます。
インド産ジャスミンをより綺麗に立たせるためには、このようにキャッチーなトップノートにする必要があったのです。
個性的なインド産ジャスミンとムスクのマリアージュ

ミドルノートに差しかかると、ごく自然な形でまろやかな香りに変化します。
謎めいたトップノートの“霧が晴れた”かのような感覚です。
ローマンカモミールの薬草っぽさがなくなるにつれて、微笑ましいジャスミンとムスクがしっとりと漂い、そして肌の上で存在感を増していきます。
このジャスミンは『GUCCI(グッチ)』のために独自に作られた香料で、インド原産ジャスミンの香りが抽出されています。
香水というよりアロマに似ていて、脳のα波を引き出してくれそうなほど心安らぐ香り。
どこか1960年代の洋楽を聞いているような、懐かしい夢心地にいざなってくれます。
香り自体は強くなく、持続時間も約4時間ほどと短いので、気軽に身にまとえる一本。
そしてこの香りの好感度はかなり高いと思います。
個性的なジャスミンを用いていますが、決して他の香料とぶつかり合うことなく見事に調和しています。
どこかで嗅いだことがあるけど、実は初めてな香り。
新しいのに不思議とノスタルジックさが残る、魅惑的なミドルノートです。
3、「あの人、何だか良い匂い」と思われるラストノート

出典:『GUCCI(グッチ)』公式インスタグラムより
ラストノートに入ると、アロマティックなウッドノートとバニラの香りがさらに肌に馴染んでいきます。
そして再びほのかなローマンカモミールが顔を出すから不思議です。
ただどれも自己主張は控えめで、実に好ましい香り立ち。
「あの人の着けてる香水、いい匂い。」ではなく、「あの人って何だかいい匂い。」と周囲に思わせてしまうような香りとの一体感を味わえます。
「MEMOIRE D’UNEODEUR(メモワール・デュヌ・オドゥ―ル)」のラストノートの香り立ちは、ある意味私たち日本人にとって理想的です。
柔らかさ、癒し、そしてほのかなソープの匂い。
ちょうど良いバランスで身体から自然と香るので、午後には大変好ましい香りとなって現れるでしょう。
どの世代も楽しめる香り

「MEMOIRE D’UNEODEUR(メモワール・デュヌ・オドゥ―ル)」はジェンダーや年齢に縛られないユニセックス香水ですので、比較的どの世代の方にも楽しめるオードパルファムです。
ただ『GUCCI(グッチ)』の他のフレグランスと比べるとややカジュアルな香りなので、ライトな装いに良く似合うと思います。
ここ数シーズンの『GUCCI(グッチ)』のファッションスタイルはポップなデザインで、1960年代から70年代の流行を再燃させるものです。
そういった「決め過ぎない」ルックに「MEMOIRED’UNE ODEUR(メモワール・デュヌ・オドゥ―ル)」はしっくりくるでしょう。
若い世代の方は子供時代に感じた「両親の青春時代の記憶」を、そして壮年層の方は「自身の昔の記憶」を呼び覚ます、ノスタルジックな香りとなっています。
まとめ
巨匠調香師、アルベルト・モリヤスの力作「MEMOIRED’UNE ODEUR(メモワール・デュヌ・オドゥ―ル)」。
「思い出の匂い」と名付けられたこのオードパルファムは、なぜか昔の記憶を思い出させるノスタルジックな作品となっています。
レトロモダンなグリーンのボトルも素敵で、かえってお洒落です。
ジェンダーを超え、個性をも光らせる秘薬のようなフレグランスなので、持っていて損はないはず。
『GUCCI(グッチ)』の新たな挑戦が垣間見える「MEMOIRE D’UNE ODEUR(メモワール・デュヌ・オドゥ―ル)」、必見です。


