世界中のファッショニスタが愛用する、『TOM FORD(トム フォード)』のフレグランス。
中でもプライベート ブレンド コレクションは、デザイナーのトム・フォード氏の高い美意識とセンスを反映した特別なコレクションとなります。
これはトム・フォード氏が、グッチなどでデザインを手がけていた時期に培った、フレグランス・クリエイションの集大成となります。
そのモットーは21世紀のビューティーシーンに合うように、「もっと自由に」「もっとエレガントに」と設定されました。
プライベート ブレンド コレクションは薬瓶をイメージしたボトルが印象的です。
全てがユニセックス対応で、特に人気という香りには「ネロリ ポルトフィーノ」「ビター ピーチ」「ロスト チェリー」などがあります。
そのうちの一つである「ロスト チェリー」は2019年に発売されるやいなや、世界中で売り切れが続出するという大ヒットを記録しました。
今回ご紹介するのはそんな「ロスト チェリー」の姉妹作、「CHERRY SMOKE(チェリー スモーク)」オードパルファムです。
チェリーのフレグランスとは得てして、甘く可愛らしい香りを想像するものです。
しかし『TOM FORD(トム フォード)』が提案するのは、官能的で類まれなるダークな世界。
しかも今回は"チェリー コレクション"として、2023年2月に「CHERRY SMOKE(チェリー スモーク)」が、そして3月には「ERECTRIC CHERRY(エレクトリック チェリー)」が二段階で登場しました。
まずはチェリーの新たな側面を捉えた新作フレグランス、23年2月発売の「CHERRY SMOKE(チェリー スモーク)」からご紹介していきたいと思います。
可愛らしいチェリーの香りは一体、どのように変化したのでしょうか。
漆黒のチェリーが、燻された空気となって辺りを舞う

CHERRY SMOKE(チェリー スモーク)オードパルファム
トップノート:サワーチェリー、サフラン
ミドルノート:レザー、オリーブ、金木犀、アプリコット
ラストノート:スモーク、シプリオール
発表年:2023年
調香師:ルイーズ・ターナー
対象性別:ユニセックス
「チェリー スモークはチェリーのダークな面を引き出している。
快楽主義かつ秘密主義なんだ」 トム・フォード
とあるように、「CHERRY SMOKE(チェリー スモーク)」はチェリー、フローラル、そしてウッドの3つが秘密裏に絡まり合う、ウッディ・フルーティの香りとなります。
それら3つの柱がスモークをまといながら、まるで美女の幻影のように、空気中にひらひらと舞ってゆくのです。
スモークはつけたてから頭角を現します。
ラストノートにあるはずなのに、いきなり現れる燻しのイメージには驚かれるかもしれません。
しかしそれが、トップノートのチェリーを「ダークに」一変させているのです。
一緒にちらつくサフランの香りが、よりエキゾチックな印象をもたらしています。
一世を風靡した「ロスト チェリー」の方は、甘いリキュールに漬け込んだジューシーなチェリーと、ほんの少しの苦みが特徴的なフレグランスでした。
イメージは、少女から大人の女性になったあの瞬間に回帰する、ちょっとした「背徳感」と「恍惚感」です。
しかし「CHERRY SMOKE(チェリー スモーク)」はそれからさらに年月が経ち、酸いも甘いも経験した「手練れ」のイメージ。
誰かの脳裏にこびりついて離れないような、記憶の中の忘れがたい異性、といった印象もあります。

ダークチェリーの香りは、甘くて、苦い思い出を同時に呼び起こすものです。
甘い思い出の方は、ミドルノートで香る金木犀(中国製オスマンサス)からイメージすることができます。
中盤で香るふとした甘さは、見事なハーモニーで「癒しと官能」を一緒に表現しています。
しかし甘すぎるということはありません。
ラストノートのウッド(シプリオール…ヒノキ科の植物)が中和の役割を果たし、最後は「篝火」のような印象になっていきます。
その篝火には、勢いもありながら、残り火のように「そこに居続ける」「焦らすかのように燃えさかっては消える」、そんな様子が見え隠れしています。
もちろん女性の姿が思い浮かぶのですが、ラストでは不思議とマスキュリンな感覚が残ります。
妖艶で忘れがたい女性を思い浮かべる紳士、そして記憶に佇む男性を恋しく思う淑女。
「CHERRY SMOKE(チェリー スモーク)」はユニセックス対応ですので、そのどちらにも取れる、魅惑的な香りと言えます。
大人の紳士淑女に、いつもの装いにさらなるエレガンスを

「CHERRY SMOKE(チェリー スモーク)」のもう一つの特徴として、肌なじみの良さがあります。
スモークは着けにくい、と思われるかもしれませんが、体温でほどよく落ち着くため不思議と違和感がありません。
スモーク感、チェリーの甘さにはしつこさがなく、大人が好むちょうど良いところを突いています。
「ロスト チェリー」よりは甘さが随分と控えめです。
しかし同シリーズで使い分けするには、非常に相性の良い1本と言えるでしょう。
『TOM FORD(トム フォード)』には艶麗な香りが多いので、おのずと気分も上がります。
TPOによっては昼も夜もまとえます。
ただ季節は、日照時間の短い秋冬が良いかもしれません。

「CHERRY SMOKE(チェリー スモーク)」は「記憶の中の香り」「ダークネス」がキーワードとなっていますので、そんな情景を思い起こす、秋冬の夕方〜夜にかけてがぴったりと合います。
特別なお出かけの日にも良いでしょう。
メイクやファッションはナチュラルというより、エレガントな装いにこそ似合います。
高級感もありますので、一度身にまとえば『TOM FORD(トム フォード)』らしい、リュクスで上品な雰囲気を醸し出すことができます。
深紅色のボトルも艶めかしく、素敵です。
3つのチェリーシリーズの中ではダークさが際立っており、お部屋のどこに置いても不思議な存在感を放つでしょう。
年齢層は問いません。
またプライベート ブレンド コレクションの全てがそうであるように、「CHERRY SMOKE(チェリー スモーク)」もユニセックス仕様ですので、男性にもお使いいただけます。
しかしながら男性が使用する際には、マスキュリンさよりも中性的な魅力が大きく引き出されると思います。
適度な甘さ、スモーキーさが、ほどよく「女性性」「男性性」を緩和させてくれるのです。
まとめ
23年2月に発売になった「CHERRY SMOKE(チェリー スモーク)」は、『TOM FORD(トム フォード)』の大人気シリーズ、プライベート ブレンド コレクションの新作となります。
この香りは、すでに大ヒットとなった「ロスト チェリー」、ならびに3月に発売された「ERECTRIC CHERRY(エレクトリック チェリー)」とともに、ブランドの新たな顔となるはずです。
甘く可愛らしいイメージのチェリーを、セクシーに、妖艶に、ダークに解釈したのも『TOM FORD(トム フォード)』だからこそ成せる業、と言えるかもしれません。
今回の「CHERRY SMOKE(チェリー スモーク)」は、意表を突くフルーティ香水をお探しの方、そして一筋縄ではいかない官能香水を求める方に、ぜひおすすめしたい1本となります。

