天才調香師と呼ばれ、2008年にはフランスの最高勲章とされているレジオン・ドヌール勲章を授与された、フランシスクルジャン。
2009年には自身の名を冠した香水メゾン、FrancisKurkdjian(フランシス クルジャン)を立ち上げました。
エレガントな調香、そして優雅さを一番に考えたクルジャンの香り。
その作品は、香水上級者を唸らせる素晴らしいものばかりです。
彼が香水を創作するうえでのキーワードは、“時間の流れ”なのだそうです。
トップ、ミドル、ラストへの移ろいはもちろん、一つの香りが生まれるまでの時間…ストーリーを大切に考え、個性として育てていくことに重きを置いているのです。
また、「人々が生きる時代の流れ」も意識しながら創作しているとのこと。
今回ご紹介する「PetitMatin(プティ マタン)」は、“パリの朝”をイメージして調香されました。
日の出とともに朝陽に包まれるパリの街の、心地良く爽やかな空気。
とても上品で、すがすがしい香りです。
実は「Grand soir(グランソワール)」という“パリの夕方”をイメージしたオードパルファムと対となって同時期に発売されました。
今回は、「Petit Matin(プティ マタン)」の明るく活気あふれる香りをご紹介していきたいと思います。
パリの朝は春が一番素敵

さてパリの朝、といっても色々あります。
それが春なのか、夏なのか、秋冬なのかでだいぶイメージが変わってきます。
天候も大事です。雨ですと当然香り方も変わりますし、快晴の日と、曇りの日でもパリの景色は全く違ったものになります。
「Petit Matin(プティマタン)」の公式のイメージPVでは、良く晴れた日の朝に、クルジャン氏が軽装でセーヌ川、ルーブル美術館の前、パレロワイヤルを颯爽と歩いている姿が見られます。
秋冬の雰囲気は全くありませんでした。
ということで、晴れた日の朝、春から初夏にかけて、というのが「PetitMatin(プティ マタン)」のイメージと言えるでしょう。
そして3月末~4月にかけてのパリは、日照時間もぐっと増え、辛かった冬がようやく終わりを迎えます。
5月も確かに心地よいのですが、春の始まり、つまり3月末~4月の方が、人々が喜びはしゃいでいる印象です。
そんな春の始まり、そして春の到来を喜ぶ人々の心を表現した香りが、「PetitMatin(プティ マタン)」です。
朝の光をシトラスで。日の出とともに朝日に包まれるパリ

Petit Matin(プティマタン)オードパルファム
ノート:カラブリア産レモン、ラベンダー、オレンジブロッサム、サンザシ、ムスク、アンブロキシド
発表年:2016年
調香師:フランシス クルジャン
対象性別:ユニセックス
「Petit Matin(プティマタン)」のトップ、ミドル、ラストノートの構成は明らかにされていません。
はっきりと分かるのは、極上のシトラスノートから始まり、これまた極上のムスクで終わるということでしょうか。
少し靄(もや)がかかったような、不思議な香り方をするのですが、これは目が覚めた瞬間のぼんやりとした意識のように、いくつもの香料を「煙が立ち込めるように」調香されているからなのだと思います。
まずはなんといっても、レモンの香りが素晴らしいです。
ここでのレモンは、舌の奥がシャキッとするような酸っぱいものではなく、何かで割ったような、例えば炭酸水に浮かんでいる「スライスレモン」のようなイメージ。
控えめな存在だけど、あると無いとでは大違い。
スライスレモンが含まれているだけで、ただの水がただものではない水に変身する、といった感じです。
さらに、口にした時の爽快感も格別です。
体温が1度下がるのではないかというほどの清涼感に加え、きっとデトックス効果もあるのでしょう。
疲れている時や喉が渇いている時に飲むとそれだけで身体が喜びます。

「Petit Matin(プティマタン)」のレモンは、こういった表現が似合います。
そしてエレガントなラベンダーも配合されていますので、シトラスといっても香りが子供っぽくなることはありません。
素敵なマダムが、朝のパリを颯爽と駆け抜けていく、そんなイメージです。
朝にまとうのにこれほど最適な香りは他にないのでは?
というほど、光に満ちあふれた、すがすがしさと品、そして爽快さを感じられます。
そのシトラスはやがてオレンジブロッサムなどのホワイトフローラル系と合わさり、温かく、柔らかな表情へ。
最後の方はムスク、アンブロキシド(アンバー)がメインとなり、上質なリネン類、洗いたての服の石けんの香りとなって漂います。
言ってしまうと、「全人類が好ましいと感じる香り」を、厳選された最高品質の香料で丁寧に作りあげたのが「PetitMatin(プティ マタン)」です。
これが似合わない人を探すのが難しいくらいでしょう。
朝のパリのスタイリッシュさ・心地よさも表現しながら、難しいようでまといやすい、なかなかに優秀な1本です。
最強のユニセックスフレグランス。これほどまといやすい香りはなかなか見つからない

「Petit Matin(プティマタン)」は、誰もが心置きなく使用できるユニセックスフレグランスです。
男女問わずまといやすく、オフィスにも持ってこいです。
そして男性にとっては、これ以上ないほど「女性ウケ」する香り。
清潔感と上質さを兼ね備えており、なおかつ最後には「洗いたてのシャツの香り(石けん)」がしますから、強いです。
変にセクシャルでないところも好感が持てます。
あまりにワイルドだったり、ダンディー過ぎる香りは女性も身構えてしまいますが、「PetitMatin(プティ マタン)」に関しては、スッとふところに入っていけるような、とても人懐っこい香り。
それでいて品があり、しっかりと高級感もあります。
どなたにでも似合うのですが、年齢層はフランシスクルジャンのラグジュアリーさゆえ、30代以降の大人が良いのではないかと思います。
季節も特に問いません。
TPOも関係ないのですが、まとうとしたら朝が一番良いでしょう。
朝の着替え時にワンプッシュ加えて、この香りと共に一日をスタートさせたくなります。
また洗練されていながらもアロマティックなところがありますので、いかにも香水!といった香り方はしません。
控えめですが決して弱いというわけではなく、万人ウケする香水とも違います。
しっかりと人に好かれるのに、没個性になっておらず、知的です。
そういったところもエレガントで、フランシスクルジャンらしさが表れています。
「持っていて絶対に損はない」、稀有な1本です。
まとめ
モダンで洗練された香りが魅力のフランシスクルジャン。
今回ご紹介した「PetitMatin(プティ マタン)」は、発売の2016年からずっと人気の素晴らしいフレグランスです。
世の中にシトラスの香りはありふれていますが、「PetitMatin(プティ マタン)」のレモンほどリュクスで「パリの朝」のイメージにぴったりなものはありません。
フランシス クルジャンの知的で優雅な世界観を、この香りで堪能してみてくださいね。


