『Serge Lutens(セルジュ・ルタンス)』は、パリ発のニッチ・フレグランスブランド。
創業者であるSergeLutens(セルジュ・ルタンス)は、「VOGUE FRANCE(ヴォーグ・フランス)」のへアメイクアップアーティストを経て、ディオールや資生堂のアートディレクターを務めた美容界の神様的な存在でした。
そんなSerge Lutens(セルジュ・ルタンス)が香りに興味を持ったきっかけは、仕事で訪れたモロッコです。
モロッコのモスクから漂うオリエンタルな香りに衝撃を受け、フレグランスをクリエーションすることを決意。

Serge Lutens(セルジュ・ルタンス)は1992年、パリ2区に「レ・サロン・デュ・パレロワイヤル・シセイドー」(現在の『SergeLutens(セルジュ・ルタンス)』本店)をオープンしました。
そしてもう一人、『SergeLutens(セルジュ・ルタンス)』を語る上で重要な人物が存在します。
同年1992年に専属調香師として就任したChristopherSheldrake(クリストファー・シェルドレイク)です。
以前に日本で仕事をしていた彼は、SergeLutens(セルジュ・ルタンス)と日本で初めて出会ったそうです。
日本愛に満ちた二人のアーティスト。
そんな二人がタッグを組んで生み出した、金木犀香るロマンチックなフレグランス「Nuitde cellophane(ニュイ・ドゥ・セロファン)」をご存知でしょうか。
個性派揃いのセルジュ・ルタンスの中でも特に透明感が高く、とても使いやすい1本です。
今回は『Serge Lutens(セルジュ・ルタンス)』のベストセラー「Nuit de cellophane(ニュイ・ドゥ・セロファン)」の魅力に迫ってみたいと思います。
郷愁を誘う「セロファンの夜」

Nuit decellophane(ニュイ・ドゥ・セロファン)オードパルファム
シングルノート:マンダリンオレンジ、オスマンサス(金木犀)、ジャスミン、グリーンノート、フルーツノート、カーネーション、リリー、ムスク、アーモンド、サンダルウッド、蜂蜜
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:2009年
対象性別:ユニセックス
まずはこの名前「Nuit decellophane(ニュイ・ドゥ・セロファン)」が気になるところです。
『Serge Lutens(セルジュ・ルタンス)』の香水、特に「COLLECTIONNOIRE(コレクション・ノワール)」シリーズは難解なネーミングのものが多いのですが、こちらもその一つ。
公式ホームページに掲載されている香りのストーリーがこちらです。
[セロファンの夜]
夜がひろがる。 星のまたたきと地面の間は、
甘く透明なかぐわしさで満ちている。
美しい夜行性の虫たちがリクエストする。
「もしもしお嬢さん。
このあたりの空気をぜんぶ包んでいただけますか?」
「贈り物ですか?」
「ええ、あなたへの」
引用:『SergeLutens』公式ホームページより
「Nuit de cellophane(ニュイ・ドゥ・セロファン)」は、SergeLutens(セルジュ・ルタンス)自身の特別な感情を詰め込んだオードパルファンです。
猛暑のモロッコ・マラケシュから自宅に戻り庭で休んでいた時に、日が暮れ始め、満天の星空と虫の鳴き声に癒された彼は、「この瞬間の空気や風情をすべてラッピングしてプレゼントしたい」…そんな感情から生まれた香りなのだとか。
そして「Nuit decellophane(ニュイ・ドゥ・セロファン)」の名前の意味には、美しい夜を“密封保存”する意味と、けだるい夏の夜にカラーセロファンを“重ねる”という二つの意味があります。

哲学的な解釈が必要な「Nuitde cellophane(ニュイ・ドゥ・セロファン)」ですが、香り立ちは名前と裏腹にとてもライトです。
トップノートからラストノートの変化は特にありません。
得てしてフルーティ・フローラルの香調は、華やかではつらつとした印象のものが多いのですが「Nuitde cellophane(ニュイ・ドゥ・セロファン)」は優しく透明感があって、もっと落ち着いています。
ジャスミンがマンダリンと共鳴する、少し甘めのフルーティー・フローラルからこの香りは始まります。
そしてすぐに金木犀のアプリコットのような優しい香りが、全体をセロファンのようなヴェールで包み込んでくれます。
華奢で透明感のある金木犀の香り。
この繊細な金木犀を、少し硬いジャスミンや、キリっとしたユリがその粋な表情を支えています。
徹頭徹尾、金木犀がしっかり香るオードパルファムです。
序盤のフローラル系の香りの比重が高く、サンダルウッドなどのベース系の香りは薄めなため、持続時間は短く数時間程度。
「セロファンの夜」という名前ではありますが、フレッシュ感の強いフルーティ・フローラル調なので午前中からでもまといやすい香りです。甘味のある香料が使われているのに、質感はもたつかずあくまでサッパリ。
金木犀の香りがそうさせているのでしょうか、なぜか郷愁を誘う香りでもあります。そして定期的に「ここに戻ってきたくなる」ような温もりをも感じることができるでしょう。
受け手の感性が問われる複雑な『SergeLutens(セルジュ・ルタンス)』にあって、誰からも愛される優しい香りです。
気候とともに楽しんで

『Serge Lutens(セルジュ・ルタンス)』の香水は、まとっているだけで“香水上級者”の印象を与えます。
「Nuit decellophane(ニュイ・ドゥ・セロファン)」然り、ライトとは言ってもその香りが奥深いことに変わりはありません。
ユニセックスタイプで年齢層も幅広く楽しんでいただけるオードパルファムですが、この香りを楽しむには天候や温度が非常に大切だと思います。
澄んだ空気をつめ込んだような香りだからこそ、陽射し強く感じる晩春や、ムンムンと熱気がこもった夏、そしてまだ汗ばむ気温の秋口などに最適なのです。
まとうタイミングとしては夜も良いですが、午前中から昼下がりにかけての方が「Nuitde cellophane(ニュイ・ドゥ・セロファン)」の心地良く、心を穏やかにしてくれるパワーを感じられるでしょう。
高温多湿な日本の気候には間違いなく受け入れられる香りです。
思わず深呼吸したくなるような「Nuitde cellophane(ニュイ・ドゥ・セロファン)」は、『Serge Lutens(セルジュ・ルタンス)』のファーストフレグランスとしても大変おすすめです。
まとめ
専属調香師のChristopherSheldrake(クリストファー・シェルドレイク)は、詩のような香りをSerge Lutens(セルジュ・ルタンス)と共に創っていたそうです。
今回の「Nuit decellophane(ニュイ・ドゥ・セロファン)」もそうですが、実は奥深さを追求する日本文化と『Serge Lutens(セルジュ・ルタンス)』は相性が良いのかもしれません。
『Serge Lutens(セルジュ・ルタンス)』の香水はまず名前の謎解きから始まります。
「どんな匂いがするのだろう?」と好奇心を持って、香りを分解し、紐解いていくこともまた香水の楽しみ方です。
香りの芸術を知り、香りの知識を深めるために最適な『SergeLutens(セルジュ・ルタンス)』。
そのなかでも皆に愛される香り、「Nuit de cellophane(ニュイ・ドゥ・セロファン)」をぜひお楽しみください。


