2006年にスウェーデンで誕生したフレグランスメゾン、『BYREDO(バイレード)』。
ニッチフレグランスブランドとして揺るぎない地位を確立した『BYREDO(バイレード)』は、日本はもとより世界中のファッショニスタから熱い支持を受けています。
創設者ベン・ゴーラム氏は、インド人の母とカナダ人の父の間に生まれ、父親の仕事の都合でトロント、ニューヨーク、ストックホルムなどいくつかの都市を移動しながら育ちました。
実は本格的な香水の教育受けないまま、31歳の時に香水の道に進むことを選んだというゴーラム氏。多くの国にインスピレーションを受けた彼がクリエイトする香りは、実に独創的で奥の深いものばかりです。
“香りと記憶の関係”に魅了されていたことから、自分自身の記憶や想像上の世界をテーマに、一つ一つの香水にストーリー性を持たせ、アーティスティックな世界観を創り出していきました。

また新進気鋭のアーティストやクリエイター、ファッションブランドなどと斬新なコラボレーションを行い、フレグランスの領域を超えた自由な創作活動を続けています。
「GYPSY WATER(ジプシー・ウォーター)」、「BLANCHE(ブランシュ)」などをはじめ数々のヒット作を生み出してきた『BYREDO(バイレード)』ですが、2021年3月4日には待望の新作「MIXED EMOTIONS(ミックスト・エモーションズ)」が新発売となりました。
「MIXED EMOTIONS(ミックスト・エモーションズ)」とは、日本語で“複雑な気持ち”、“入り交じった感情”を意味します。
世界的なパンデミックに生きる私たちの、今感じている不安や安堵の感情を全てひっくるめて香りに昇華した、ジェンダーフリーの香水です。
非常にタイムリーな上に、他に類を見ないコンセプトをひっさげて登場した今回の「MIXED EMOTIONS(ミックスト・エモーションズ)」。
複雑かつ壮大なこの香りの魅力に迫ってみたいと思います。
強く、複雑で、『BYREDO(バイレード)』美学が詰まった香り

MIXED EMOTIONS(ミックスト・エモーションズ)オードパルファム
トップノート:ブラックカラント(カシス)、マテ
ミドルノート:セイロンブラックティー、ヴァイオレットリーフ
ラストノート:バーチ(白樺)、パピルス
調香師:ジェローム・エピネット
発表年:2021年
対象性別:ユニセックス
「MIXED EMOTIONS(ミックスト・エモーションズ)」を一吹きした時、その類まれな複雑さに驚くことでしょう。
多くのトップノートは爽やかで清潔、そして弾けるようなシトラスノートが香ってくるものですが、「MIXED EMOTIONS(ミックスト・エモーションズ)」には全くその要素がありません。
そして、割と強めでパンチが効いています。
ブラックカラント(カシス)の、ジューシーだけど甘くないハーバルな香り。
そこにアーシーなマテ(お茶)の香りがミックスされて、多国籍なイメージが強く残るトップノートです。
続くミドルノートでは、セイロンブラックティーの香りが先のマテと相性が良いのでしょうか、心地良いスモーキーさが続いていきます。
それでもまだ複雑な印象は続いていて、靄(もや)の中をぐるぐる歩いている感じもします。
ただ、そこに現れるヴァイオレットリーフの柔らかなフローラルトーンが絶妙で、放っておいたらすごく暗くなりそうな「MIXED EMOTIONS(ミックスト・エモーションズ)」の香りを、ここでぎりぎりニュートラルに保っているような印象です。
「MIXED EMOTIONS(ミックスト・エモーションズ)」のトップノートが独特なため最初は面喰ってしまうのですが、実はラストノートのこのバーチ(白樺)こそが肝なのです。
日本人にとってもなじみのある白樺のウッディ調の香り。
『BYREDO(バイレード)』は非常に珍しい本物の白樺の香りを登用しています。
さて、ここでは、“ザ・ウッディ!”というよりは清涼感のある森林の香りが特徴的。
まるで自然の中にいるような安心感も味わえます。
負や正の感情を表しているのがトップ~ミドルノートで、このラストノートではもしかしたら“無”を表しているのかもしれません。
その無垢な香りは“純粋さ”というより“無”を連想させるものでした。

好みが分かれるであろう、独特な香りの「MIXED EMOTIONS(ミックスト・エモーションズ)」。
恐らく『BYREDO(バイレード)』のなかでも1、2を争う傑作香水となり得るでしょう。
例えば、他の一流メゾンの香水が“黄金比率”的なシンメトリーの美を表現しているのに比べ、「MIXED EMOTIONS(ミックスト・エモーションズ)」はアシンメトリーな美しさをはらんでいます。
骨太かと思えば繊細で、込み入った複雑な香りかと思いきやイノセントな一面もある。
ただただ多幸感をあおるようなフレグランスでは決してなく、力強さもなければ万人受けも狙っていない。
なんとなく滅入る気持ちと、人を惹きつける何かを同時に持ち合わせた、まるで太宰治のようなフレグランス。
退廃美や背徳感をも感じさせる、『BYREDO(バイレード)』美学がぎっしりと詰まった1本です。
コンセプトに共感する全ての人に似合う香り
「MIXED EMOTIONS(ミックスト・エモーションズ)」の香りは、バランスが取れているようで、アンバランスです。
ただ、時としてそのアンバランスさが絶対的な魅力となって現れることがあります。

出典:『BYREDO(バイレード)』オフィシャルインスタグラムより
Balance is key
But unbalanced feels more like me.
(バランスが鍵だ。だけどアンバランスはもっと自分らしい。)
『BYREDO(バイレード)』のオフィシャルインスタグラムに掲載された、興味深い言葉。
実はここに、「MIXED EMOTIONS(ミックスト・エモーションズ)」の全てが要約されているんですね。
このフレグランスは、ありふれた香料と珍しい香料を組み合わせることで、個別の香りの差異を保ちながら全体の魅力を高めています。
パンデミックにおける“複雑な気持ち”、“入り交じった感情”を香りへ昇華した、という壮大なコンセプトを持った「MIXED EMOTIONS(ミックスト・エモーションズ)」。
湧き上がってくる負の感情、それを打ち消すためのポジティブな言葉、先の見えない不安、それでも未来は明るいと思える自分。
そんなアンバランスな感情をそのまま“客観的”に香りに落とし込んだ、素晴らしい香水がここに誕生しました。

「MIXED EMOTIONS(ミックスト・エモーションズ)」は、どのシーンに似合うか?というより、文字通り“入り交じった感情”の時にまといたくなる香りです。
逆を言えば、夏向き・デート向きといった定型文的なシチュエーションにはハマらない香りだと思います。
年齢も性別も問いません。
おそらく、「MIXED EMOTIONS(ミックスト・エモーションズ)」のコンセプトに共感する方でしたら全ての人にお似合いになるはずです。
ただ若干メンズ寄りのアーティスティックな香りなので、女性がまとえばハンサムで芸術家然とした印象となるでしょう。

「MIXED EMOTIONS(ミックスト・エモーションズ)」をまとう人物像としては、感性と創造性にあふれた刺激的な人、だけど根っこに繊細な部分を持っている、パステルカラーよりモノトーン、集団より個人が好き、リベラリスト、といった感じです。
まとめ
世界的なパンデミックを生きる私達の、今感じている不安や安堵を全てひっくるめて香りに昇華した「MIXED EMOTIONS(ミックスト・エモーションズ)」。
今という未曾有の時代に生きる私達の心情を、的確かつ客観的に捉えたエモーショナルな逸品です。
“私にとって香水作りとは、エモーションをガラス瓶に詰め込むことです。手に取った人に、香水の香りや名前をたよりに、 そこに込められたエモーションを感じ取って欲しいのです。”
と創設者ベン・ゴーラム氏が語るように、“感情”を表した香水において『BYREDO(バイレード)』の右に出るブランドはありません。
今回の「MIXED EMOTIONS(ミックスト・エモーションズ)」は、ただのフレグランスとしてだけではなく、自分の内面を表現するスタイルとしてつけこなすことで『BYREDO(バイレード)』らしさが出て一番美しく香らせることでしょう。
非常にタイムリーな「MIXED EMOTIONS(ミックスト・エモーションズ)」の香り、ぜひお試しください。

