「香りの職人」を意味する、フランスのフレグランスメゾン『ラルチザン パフューム(L’ARTISAN PARFUMEUR)』。

1976年の設立から40年余り経った今でも、その確かなクオリティと奥深い香りで世界の香水ファンを魅了し続けています。

『ラルチザン パフューム(L’ARTISAN PARFUMEUR)』のフレグランスは、ファッションブランドが提案する香りとは異なり、天然香料を使った独創的な香りが特徴です。

創設者であり調香師のジャン・ラボルトが造る、自然や植物の一部を「切り取った」かのような香りは、香水の概念を超え人々に新しい感動をもたらしました。

そのため『ラルチザン パフューム(L’ARTISAN PARFUMEUR)』のフレグランスは、日常でアロマやハーブを使っているという方にも入りやすく、良い意味で「型破りな香り」と言われています。

創設以来、たくさんの名香を世に送り出してきた『ラルチザン パフューム(L’ARTISAN PARFUMEUR)』。

2022年には薔薇の香りの特別なオードパルファムが発売され、大人気となりました。

その名は「メモワール ド ローズ(MEMOIRE DE ROSES)」です。

こちらは限定発売だったのですが、顧客のラブコールに応えて2023年4月に定番化となりました。

今回定番化が決まった「メモワール ド ローズ(MEMOIRE DE ROSES)」は、薔薇の香りをそのままボトルに落とし込んだ、美しいオードパルファムです。

「メモワール ド ローズ(MEMOIRE DE ROSES)」とは、日本語で「薔薇の記憶」を意味します。

世にあふれる薔薇の香水と何が違うのか、詳しく見ていきましょう。

記憶の中にある薔薇をイメージした香り

「メモワール ド ローズ(MEMOIRE DE ROSES)」は、薔薇の栽培農家が夢見るような、ありのままの花の姿を表しているといいます。

この香りを担当したのは調香師のクリストフ・レイノー。

彼は香りの名手であるがゆえに、着飾りすぎたローズを望まなかったそうです。

薔薇はもとより、花のすべては美しくて儚いもの。その美しさと儚さをボトルの中で「不滅」とし、永遠に新鮮なまま記憶させるように、「メモワール ド ローズ(MEMOIRE DE ROSES)」には贅沢なシトラスが用いられました。

またクリストフ・レイノーによれば、「メモワール ド ローズ(MEMOIRE DE ROSES)」は花の女王である薔薇への賛歌であり、女性らしさの体現でもあるそうです。

そんな今回のオードパルファムは、数ある『ラルチザン パフューム(L’ARTISAN PARFUMEUR)』の香りの中でも、抜群の透明感を誇ります。

咲きたてのフレッシュな香り、記憶の中の薔薇。『ラルチザン パフューム(L’ARTISAN PARFUMEUR)』が得意とする、アロマティックな香りの魅力に迫りたいと思います。

薔薇を華美に表現せず、ありのままに。まさに思い出に咲くあの日の薔薇

メモワール ド ローズ(MEMOIRE DE ROSES)オードパルファム

香調:フローラル・シトラス

主な香料:マンダリン、ローズ、ムスク

発表年:2022年

調香師:クリストフ・レイノー

対象性別:女性

「メモワール ド ローズ(MEMOIRE DE ROSES)」は、脚色も何もされていない、正真正銘の「薔薇」の香りです。

そこにあるのは純粋でただ美しい、数本の薔薇だけです。

薔薇を取り巻く背景や人物などはストーリーに含まれていません。

しかし裏を返せば、この香りによって「一人ひとりが物語を構築できる」と言えます。

「メモワール ド ローズ(MEMOIRE DE ROSES)」を調香したクリストフ・レイノーはこう述べています。

「私がローズを心から愛しているのは、どんな物語でも描くことができるからです。

ひとつとして同じものはなく、いつも驚かされます。まさに無限の可能性を秘めた花なのです」

調香師 クリストフ・レイノー 

このように、「メモワール ド ローズ(MEMOIRE DE ROSES)」は薔薇の純粋な一面を表現することによって、身にまとう人々の記憶を蘇らせてくれるのです。

薔薇の思い出とは喜怒哀楽のどれに当てはまるのでしょうか。

人によってさまざまな記憶があると思いますが、「メモワール ド ローズ(MEMOIRE DE ROSES)」から漂うのは、咲きたての薔薇のフレッシュな香りと、花びらにぶら下がる雫のような瑞々しさです。

その香りはきっと、怒りや悲しみをも鎮めてくれるものなのだと思います。

まずつけたての時に香るのは、マンダリンとミントの爽やかなフルーティー・ノート。

薔薇の香りにシトラスを組み込むことによって、その記憶は「永遠にフレッシュなまま」、私たちの脳裏に鮮やかに蘇ります。

シトラス・ノートは得てして爽やか、フレッシュ、元気、というような印象を残しますが、ここでは少しの「儚さ」も表現されています。

つまりマンダリンの香りは長くは続かず、蕾の時期の短さのように、あっという間に立ち去っていくのです。

マンダリンはトーンダウンするものの、“シトラスの葉”のような香草感は、以後も「脇役」となって続きます。

その香りは薔薇の花びらだけではなく、薔薇の葉、茎、棘まで全体を見ているようです。

枯れていく過程はまったく想像できません。

「メモワール ド ローズ(MEMOIRE DE ROSES)」では、シチュエーションが「薔薇のブーケ」であれ「薔薇園」であれ、その時に遭遇した最も美しい状態の薔薇が表現されています。

こうしたありのままの薔薇をボトルに閉じ込めたことによって、薔薇にまつわるそれぞれの記憶を呼び覚ましてくれるのです。

切ない気持ち、嬉しい気持ちのどちらを持つかはまとう人に委ねられますが、瑞々しくやさしいその香りは、アロマのように私たちの心を解きほぐしてくれます。

ラストノートに香るムスクによって女性的な印象も高まります。

しかし甘いということはなく、全体を通して、先の香草感が薔薇のゴージャスさを控えめにしているので、香りには独特な深みがあります。

いずれにしても、他の薔薇香水にはまったく見られないような香りを楽しめるのが「メモワール ド ローズ(MEMOIRE DE ROSES)」です。

それはまさに、植物の一部を「切り取った」香りを提案する『ラルチザン パフューム(L’ARTISAN PARFUMEUR)』の真骨頂、とも言えるでしょう。

アロマやハーブをお好みの方に。薔薇香水では珍しい「内省的」な香り

『ラルチザン パフューム(L’ARTISAN PARFUMEUR)』のフレグランスはつけやすくも、芸術的な側面を大いに持っています。

「メモワール ド ローズ(MEMOIRE DE ROSES)」も同様なのですが、こちらは万人受けの薔薇香水とは一線を画したフレグランスです。

植物の香り、自然のえぐみまでが表現されていますので、どちらかといえばアロマやハーブをお好みの方に向いている香りだと言えるでしょう。

とはいえ内容はしっかり香水(オードパルファム)なので、持続時間は8〜9時間と長めです。

そのためオフィスには不向きかもしれません。

しかしご自宅用やオフの日にはもってこいの香りです。

薔薇香水には大変珍しい「内省的な香り」ですし、人を魅了するというよりは、自分を掘り下げていくような奥深い香りです。

つまり、香ってパッと「素敵」なのではなく、「しみじみいいな」という香りが「メモワール ド ローズ(MEMOIRE DE ROSES)」です。

試香紙上と実際に肌につけてみたイメージもだいぶ変わりますので、お試しの際は肌の上でを強くおすすめしたいと思います。

季節は問いませんが、5月〜6月のシーズンは薔薇の記憶が一層蘇ることと思います。

従って「メモワール ド ローズ(MEMOIRE DE ROSES)」の香りは、春の盛りがいちばんその深みを増すのかもしれません。

まとめ

今回定番化となった「メモワール ド ローズ(MEMOIRE DE ROSES)」は、“香りの職人”と呼ばれる『ラルチザン パフューム(L’ARTISAN PARFUMEUR)』の新しい代表作です。

他の香りとまったく被らないこのフレグランスは、一筋縄ではいかない薔薇香水をお求めの方にも、アロマが好きという方にもぴったりです。