2006年にスウェーデンはストックホルムで生まれたフレグランスメゾン、『BYREDO(バイレード)』。

このブランド名は『ロミオとジュリエット』で知られる劇作家、シェイクスピアの言葉「byredolence(香りが思い起こす)」から取ったものです。

スウェーエデン人の父とインド人の母の間に生まれた創業者のベン・ゴーラム氏は、両親の

故郷や自身の思い出をもとに作られた「記憶の香り」をブランドのテーマとしています。

新人調香師のジェローム・エピネットとタッグを組み、5~10種類の極めて少ない香料でブレンドされたそれぞれのフレグランスは、感度の高いファッショニスタを瞬く間に虜にしていきました。

モードでユニセックスな香りの数々。

重厚な香りはそれほど多くなく、複雑ながらもカッコいい雰囲気のフレグランスばかりで、日本人にも実は使いやすいという利点もあります。

そんな『BYREDO(バイレード)』が「記憶の香り」として2020年6月に打ち出したのが、“私たち全員が経験してきたティーンエイジャーの女性の複雑さ”を表現する「LILFLEUR(リル・フルール)」です。

これは単に、若い女性がまとうために限定されたフレグランスという訳ではありません。

ティーンならではの複雑さ、感情の起伏、何かを渇望し期待するという、ダイナミックでストレートな香りなのです。

もし下調べなしで「LILFLEUR(リル・フルール)」を嗅げば、誰もティーン向けのフレグランスとは思わないはず。

今回は、世界中の誰もが経験した“あの頃”を思い出させる、「LIL FLEUR(リル・フルール)」の不思議な魅力についてご紹介したいと思います。

アンニュイなカシスの香り、ミステリアスな余韻

出典:『BYREDO(バイレード)』公式インスタグラムより

LIL FLEUR(リル・フルール)オードパルファム

トップノート:サフラン、カシス、タンジェリン

ミドルノート:ダマスクローズ、レザー

ラストノート:アンバーグリス、バニラ、ブロンズウッド

発表年:2020年

調香師:ジェローム・エピネット

対象性別:ユニセックス

2020年6月に発売となった「LILFLEUR(リル・フルール)」は、“ティーンエイジャーの女性”を表現したオードパルファムです。

「LIL FLEUR(リル・フルール)」のインスピレーションの元となったのは、創設者ベン・ゴーラム氏が自身の妹や娘に感じていた、女性ならではの輝かしい“若さ”。

通常、若さを表現した香水は、フルーティーだったり透明感のある香りが主軸となっているものが多いのですが、『BYREDO(バイレード)』のフレグランスはそう一筋縄ではいきません。

まずトップノートのカシスの香りは、『BYREDO(バイレード)』が高級メゾンということを改めて思わせる最上質のものです。

甘いといえば甘いのですが、これはデザートやジャムのようなスイートさではなく、野になるワイルドなベリーの香り。

ちょっと冷たくて、プラスチックとメタリックの中間のような硬さも感じます。しかしそれがティーンの心情をものすごく上手に表現していると言いますか、“荒削り感”がはっきりと分かるブレンドとなっているのです。

単純に“甘くハッピーなベリー系の香り”で終わらないところに『BYREDO(バイレード)』らしさが詰まっています。

そして「LIL FLEUR(リル・フルール)」の香りは、2013年のフランス映画『アデル、ブルーは熱い色』の主人公、エマを彷彿とさせるものです。

『アデル、ブルーは熱い色』はティーンエイジャーのエマが純愛を通して、若く尖った感性から次第に大人の女性に変化していく過程を描いた映画。

邪心のない純愛、痛みを伴う青春時代、激しく揺れ動く、その世代ならではの感情…。

そういった“あの頃”の切ない記憶が、「LILFLEUR(リル・フルール)」ではとてもストイックに表現されています。

ノスタルジックな気分になるというよりは、瞬時に10代に戻れるような香り。

10代がまとうにふさわしい香水ではなく、大人になった私たちが“あの頃”のストレートさを取り戻すことのできるオードパルファムなのです。

ミドルノート以降もカシスの熱情は続いていくのですが、ここでダマスクローズとレザーが加わることで少しトーンダウンします。

少し不思議なのですが、「LILFLEUR(リル・フルール)」はここでグッと大人の女性に成長します。不思議な落ち着きを帯び、“これぞユニセックス”というようなミステリアスな香りに変化するのです。

もし、このミドルノートだけを切り取ったとしたら、誰も“ティーンエイジャーの女性”を表現したオードパルファムだとは思わなかったことでしょう。

30代、40代の方がまとっても全く違和感のない、カッコいい香りです。

そしてラストノートではアンバーグリスやブロンズウッドといった優しい香りが、傷ついた自分を優しく抱擁するように、毛布のように包み込みながら、その幕を閉じます。

星形のように尖った感性が、角が取れてゆっくりと丸みを帯びてゆき、そして次のステージへと上がってゆく。そんな心の移り変わりを痛いほどに描いた、エモーショナルな1本です。

どんなファッションにも似合う、不思議な魅力を持った香り

出典:『BYREDO(バイレード)』公式インスタグラムより

『BYREDO(バイレード)』の他のフレグランスと同じように、「LILFLEUR(リル・フルール)」も決して重たい香りではありません。

この香りは、春夏といった温度の高い季節でも問題なくまとうことができます。

ユニセックスタイプではありますが、若干女性寄りの香りなので、男性でしたらトランスジェンダーの方がお似合いになるでしょう。

10代の若者に捧げるフレグランスとはいえ、30代、40代の男女に是非ともおすすめしたい香りでもあります。

『BYREDO(バイレード)』特有のスタイリッシュさに加えて、甘さもスパイシーさもかなり抑えた調香になっておりますので、「○○らしさ」から解放されたい方にはぴったりの香水と言えます。

「LIL FLEUR(リル・フルール)」の持つ独特のエッジやダイナミックさがその方の魅力をより活き活きとしたものに変え、好奇心旺盛で快活なイメージを周囲に与えることでしょう。

もちろん10代後半から20代前半の方がまとっても素敵です。

その場合、大人がまとう「LILFLEUR(リル・フルール)」よりもずっと「自分を持っている人」となって映り、表現者としての自己を確立することができるはず。

また、「LIL FLEUR(リル・フルール)」はどんなファッションにも似合います。

オン・オフ問わずファッションを固定化しない香りでもあります。

言い換えれば、どんな自分にも香りが合わせに来てくれる、そんな不思議な魅力を持っているのが「LILFLEUR(リル・フルール)」なのです。

まとめ

ニッチフレグランスに位置づけされる『BYREDO(バイレード)』は、「記憶の香り」をコンセプトにしたスタイリッシュなフレグランスが勢揃いしています。

今回ご紹介した「LILFLEUR(リル・フルール)」は、ニッチ香水好きな方にも香水ビギナーの方も、幅広い方に満足していただける魅力的な1本。他の香りともレイヤードすることが可能な面白いオードパルファムです。

「LIL FLEUR(リル・フルール)」をまとえば、きっと誰もが外へ出て人と会いたくなるでしょう。好奇心でいっぱいだった、“あの頃”の感情を思い出させてくれる何かがこの香りには詰まっています。

『BYREDO(バイレード)』を既にお持ちの方も、そうでない方もこの機会に手をとってみてはいかがでしょうか?