2021年に創立60周年を迎えたフランス発の香水メゾン、ディプティック。

始まりは香水ではなく、インテリア雑貨を扱うブティックだったとのことです。

センスの良い内装や世界観はそこから来ているのですね。

ボトルデザインもシンプルながら中世的で、不思議とどんなお部屋にもマッチしてしまいます。

香りのラインナップは実にさまざま。

複数持ちしているファンの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

その魅力はエレガントで知的、自然由来のナチュラルな香りにあります。

特にディプティックはシトラス系やハーブ、ローズの香りが多く、嗅ぎ疲れしないというのがポイントです。

例え真夏日でも、体調が優れない日でも、嫌な印象を受けません。

さて、そんなディプティックで人気の香りと言えば「EAUROSE EAU DE TOILETTE(オー ローズ オードトワレ)」です。

日本語で「バラの水」を意味するこの香りは、2012年の発売以降大変な人気を博してきました。

ローズの華やかさだけでなく、本来ある植物の青み、グリーン感、そして水の清涼感をリアルに表現した1本です。

そんな「EAU ROSEEAU DE TOILETTE(オー ローズ オードトワレ)」の発売から10周年を記念して、期間限定でオードパルファムバージョンが発売となりました。

今回は、この「EAU ROSE(オー ローズ)」オードパルファムについてご紹介したいと思います。

フランス、5月のバラ

ディプティックの本拠地、フランスではバラがあちこちに咲いています。

5月になると一斉に花が開き、庭園はおろか道端にも野バラが顔をのぞかせます。

その年の気温によりますが、だいたい6月の中旬ごろまではフランス各地でバラを愛でる風景がよく見られます。

南仏グラースのバラ園はとくに有名で、シャネルやディオールといった一流メゾンが自社のバラ園を所有しているほど。

ということで、バラを携えたフランスはこの時期一層ゴージャスになります。

バラの美しさにばかり目を奪われてしまいますが、実は「EAUROSE(オー ローズ)」の香りはバラだけにフォーカスされていません。

バラという主演がいて、水という大事なパートナーがいて、さらにはグリーンの葉が名脇役として登場している。

とそんな、1本の映画のような香水なのです。

バラ、水、葉、そのどれか一つでも欠けたら脚本はなりたちません。

バラを引き立たせるために葉があって、葉が元気でいるために水があって…

どれも完璧なバランスで、ボトルの中で役を演じているのです。

ではそれぞれどういった特徴があるのか、早速見ていきましょう。

力強いバラ、カモミールとアーティチョークの素晴らしいバイプレーヤーに支えられて

EAU ROSE(オー ローズ)オードパルファム

トップノート:ライチ

ミドルノート:ダマスクローズ、メイローズ(5月の薔薇)、ローズウォーター、カモミール、アーティチョーク

ラストノート:ウッディノート、ムスク

発表年:2022年

調香師:ファブリス・ペルグラン

対象性別:ユニセックス

まず第一に言えるのは、「EAUROSE(オー ローズ)」オードトワレも、オードパルファムも、「パウダリー感」が全くないということでしょう。

世の中にはローズ香水が数え切れないほど存在しています。

もちろんバラそのものの香りを再現したフレグランスもありますが、多くがパウダリーでフェミニン性を全面に打ち出したものです。

そのためローズ香水に「くどい」「甘い」といったイメージを抱く方も少なくないのではないでしょうか。

そんな皆さんに朗報です。

「EAU ROSE(オー ローズ)」オードパルファムは、スイートさを一切省いた「リアル感」が秀逸なのです。

甘さ控えめではありません。全く甘くないのです。

もちろんバラが主人公なので、存在感はそれなりにあります。「それなり」ではなく「かなり」、でしょうか。

オードトワレタイプと違うのは、彼女がもっと自立し、強く逞しく成長したところ。

あくまでイメージですが、このバラを擬人化するなら、パンツスタイル、ショートヘア、モノトーンに身を包んだ30歳前後の「デキる女性」を想像します。

トップノートは瑞々しいライチの香りでスタート。

幕開けから素敵です。シトラスで始まらないところが印象的で、水分を含んだライチが「水」を表しているようです。

しかしその水は雨水ではなく、バラからしたたる「朝露」といったところでしょうか。

サラサラっとした水分というより、朝露の丸みを帯びた、ちょっと「円い」水のイメージがこのライチの香りによって頭に浮かんできます。

ミドルノートでは、今回のオードパルファムバージョンで新たに追加されたカモミールとアーティチョークの香りが登場します。

アーティチョークは、ヨーロッパにおいてバラの香りの引き立て役として植えられることが多いと言います。

南仏生まれの調香師、ファブリス・ペルグランはきっとそれを再現しているのでしょう。

バラ単体の香りよりずっと奥行きが増していて、表情が豊かになっています。

カモミールも同じです。この二つがアロマティックな要素を引き出していて、バラがバラではない、何か別の衣装を着せたような、素敵な新鮮味を与えているのです。

カモミールとアーティチョークという、新たな名脇役が登場したことで、「EAUROSE(オー ローズ)」の第2章はさらに興味深いものとなりました。

ラストはウッディノートとムスクが、柔らかな余韻を残し「バラの演劇」にカーテンを降ろします。

オードトワレタイプと違うのは、主役のバラがより力強く、独立した雰囲気を持つようになった、というところでしょうか。

ただ新たに加わった香料があまりにも素晴らしいため、バラが孤立せず、それでいてロマンチックに、人間味を持ったキャラクターに変化しました。

バラ好きの皆さんには声を大にしてお勧めしたい1本です。

ディプティックの確かな腕に、思わず唸ってしまうことでしょう。

バラを愛する全ての人へ。年齢も性別も飛び越える魅力がここに

「EAU ROSE(オー ローズ)」オードパルファムは、結論から申し上げますとどなたにでも愛される香りです。

それは決して万人ウケという意味ではなく、我々人間の嗅覚の気持ち良いところを確かにくすぐる香りだ、ということになります。

そのため年齢も、性別も、季節も、TPOも関係ありません。

これほど使い勝手の良い香りもなかなかないものです。

真冬に発売されていますから、こういったリアルなバラの香りも冬に合う、と言えるのだと思います。

使い勝手が良いというとチープな香りを想像してしまいますが、「EAUROSE(オー ローズ)」においては真逆であります。

むしろこういったリュクスな香りこそが日常使いに相応しいかもしれません。

ただ、時間帯としては朝一番に使いたいですね。

寝香水とするにはあまりにもキラキラしているため、日中に使わないともったいなく感じてしまいます。

朝、この香りとともに、自らが主役となって出掛けていける。

そんな素敵な香りが「EAUROSE(オー ローズ)」です。

まとめ

ディプティックが打ち出すローズの香りは、天然香料を使用したエレガントなものばかり。

香りで男女の壁を作っていないところも素敵ですよね。

他とは一味も二味も異なるバラ、リアルなバラを感じたい方に。

「EAU ROSE(オー ローズ)」からバラの息吹を受け取ってみて下さい。