フランス語で「二つ折りの絵屏風」を意味する『Diptyque(ディプティック)』は、1961年に3人のアーティストたちによって創設されたパリのフレグランスメゾンです。
元々はインテリア雑貨を中心に展開するブランドでしたが、アロマキャンドルを発売するや大変な人気を博し、フレグランスの創作に方向性を転換。
今では世界的に有名なフレグランスブランドに成長しました。
そんな『Diptyque(ディプティック)』の中でも、特に女性に人気があるのが今回ご紹介する「DOSON(ドソン)」というオードトワレです。
チュベルーズを基調とした、クリーミィで優しい香りが魅力の「DOSON(ドソン)」。
『Diptyque(ディプティック)』創始者の一人、イヴ・クロエンが子供時代に過ごしたべトナムでの思い出がこの香りのモチーフとなりました。
良質な天然香料がじんわりと肌に馴染み、まるで霧のように内側から上品で美しい香りを発するのが特徴です。
複雑さも癖もなく、春夏につけやすい「DOSON(ドソン)」の魅力をご紹介したいと思います。
誰もが優しい気持ちになれる幸せの香り

トップノート:オレンジブロッサム、チュベルーズ、マリンアコード
ミドルノート:ローズ、ジャスミン、アイリス、ターキッシュローズ
ラストノート:ムスク、ベンゾイン
発表年:2005年
調香師:ファブリス・ペルグラン
対象性別:ユニセックス
「DOSON(ドソン)」は『Diptyque(ディプティック)』を代表する香りの一つ。
創始者の一人、イヴ・クロエンは幼少期、ベトナムはハロン湾のそばで家族と暮らしていたそうです。
当時、ベトナムの街のお寺に捧げるための花、チュベルーズの香りが強く心に残っていたことから「DOSON(ドソン)」が創られました。
チュベルーズ自体は濃厚な香りを放つ花として大変有名で、ブレンドによっては南国色が強い香りになってしまいますが、「DOSON(ドソン)」の香り立ちはとても優雅です。

出典:『Diptyque(ディプティック)』公式インスタグラムより
トップノートに香るすがすがしいオレンジブロッサムは、港町をかけ抜ける気持ちよい海風のようです。
花壇のパステルカラー、活発に行き交う人々、午前中の爽快な空気…そんな、活き活きとした暮らしを連想させる始まりです。
この時、チュベルーズはまだその芳香を隠しているのですが、この抑えられたバランスが大変秀逸です。
南国ベトナムの“風”もモチーフになっているため、チュベルーズのこってりとした香りが「DOSON(ドソン)」ではオレンジブロッサムとマリンアコードが混じることでとても軽やかに仕上がっています。
やがてオレンジブロッサムが姿を消すと、いよいよ主役の花々の登場。
ミドルノートはほんわか、クリーミィ。
ゆっくりと時が流れる南の国の情景が浮かんでくるようです。
チュベルーズのしたたり落ちるような香りを、上品なローズ達が受け皿となってキャッチしていることで柔和な表情に。
そのため刺激や官能性は控えめです。
色気や恋の駆け引きといった「ドーパミン」の出る香りではなく、家族愛、安らぎを感じる「オキシトシン」が高まるような香りなのです。
とはいえ、「DOSON(ドソン)」にはレディス香水のパウダリーさはなく、甘すぎない調香なので、男性も心置きなく使用していただけるオードトワレでもあります。
それこそが『Diptyque(ディプティック)』の魅力の最たる例。
何事も、「過ぎる」という所がなく、それでいて万人受けを狙っているわけでもない。

そこはかとなく良い雰囲気を演出して、さりげなく印象を残す、そんな理想的な香りの使い方を可能にしているのです。
ラストノートでは、ムスクがチュベローズを包み込むかのようにゆっくりと香ります。
終始穏やかで、トップノートからラストノートにかけて劇的な変化は見られません。
ですがそれがかえって心地良く、ゆったりとした南国での幸福なひと時を思わせてくれます。
「DOSON(ドソン)」はチュベルーズが主役のオードトワレ。
数多のブランドがチュベルーズをテーマにした香水を発表していますが、その多くは「官能性」に言及したものです。
これほどチュベルーズで「安穏」や「幸福感」を表している香りは存在しないかもしれません。
「DOSON(ドソン)」のストーリー性もさることながら、この香りが運んでくる情景に思いを馳せながら、ゆっくりと自分時間を過ごしたいものです。
春夏におすすめ。シーンは万能型

出典:『Diptyque(ディプティック)』公式インスタグラムより
「DOSON(ドソン)」は複雑な香りではありませんが、先述した通りとても安らぎを与える香りなので、20代後半以降の大人の男女に合う香りかと思います。
オードトワレタイプなので香りがクリアで重たくなく、日中でも問題なくまとえます。
とはいえチュベルーズの香りはシトラス系よりインパクトがあるので、オフィスで使用する場合は手首よりも太ももや足首といった、鼻から遠い場所にワンプッシュするのがおすすめです。
ビジネスシーンだけ着ける場所を工夫していれば、他のシチュエーションでは心置きなく「DOSON(ドソン)」を楽しめるでしょう。
ステイホーム時の安らぎの時間、お友達とのお出かけ、または大切な人と過ごす休日に。
いつでもどこでも「幸福感」をシェアしたくなる香りです。
真冬もまとえる「DOSON(ドソン)」ですが、この長所を最大限に引き出すためには体温を高く保っていられる春夏がおすすめです。
チュベルーズの柔らかさが一番綺麗に香り、より明るく眩しく周囲を照らすでしょう。
やや女性よりの香りではありますが、もし男性から「DOSON(ドソン)」が漂ってきたらエキゾチックな印象が残ってとても素敵だと思います。
「ベトナムで過ごした思い出、チュベルーズの記憶」というドラマティックな設定。
日常的なのに、非日常にもなりうる香り。
『Diptyque(ディプティック)』にしか出せない、上質で小粋な技が「DOSON(ドソン)」にはギュッと詰まっているのです。
まとめ
日本でもファンが多い『Diptyque(ディプティック)』。
素晴らしい香りがひしめくラインナップでも「DOSON(ドソン)」は一、二を争う人気作品です。
ローズ以外のフローラル香水を探しているという方にもおすすめで、「こんなに豊かなフローラルがあったのか」と感心させられるほど奥の深い香りでもあります。
その奥行きとつけやすさの見事なギャップに虜になってしまうかもしれませんね。
日常の一部に溶け込んでくれる「DOSON(ドソン)」は、贈り物としても自分へのご褒美としても、幸福度を上げてくれる香りとなってくれることでしょう。

