フランスが誇る人間国宝といえば、『SergeLuteins(セルジュ ルタンス)』。

フランスのパリで生まれた、高級フレグランスメゾンです。

創業者のSergeLuteins(セルジュ ルタンス)氏は、芸術の分野でフランスに貢献した人に贈られる勲章「コマンドゥール」を受章しています。

実は、彼は調香師ではなく、ブランドのプロデューサーであり、またファッションデザイナー、ヘアスタイリスト、写真家、映画監督、パフュームデザイナーという肩書きを持っている多才な人。

別名「時を旅する人」「フランスの知性・哲人」という名を持つルタンス氏が生み出す香りは、私たちに新たな「香り」の発見をもたらしてくれます。

その香りは「気体の宝石」とも呼ばれ、繊細に構成されたフレグランスばかり。

数多くある香水の中でも、一線を画するのがセルジュ・ルタンスです。

香りはもちろんのこと、その名前も独特の世界観を表し、東洋的でエキゾチックな香りが多いのも特徴です。

また、シンプルでスタイリッシュなボトルは、セルジュルタンス氏が自身の作品に「自信がある」ことの表れ、といって良いでしょう。

そして『SergeLuteins(セルジュ ルタンス)』の香水は、季節やシーン、香りの構成、イメージによって選ぶことができ、トップノートからラストノートまでの独特な変化を楽しめます。

このメゾンは世界中のセレブにも愛されているのですが、やはりそれは「本物の香水とは何か」を私たちに常に教えてくれるからだと思います。

今回は、たくさんの有名香水を輩出した『SergeLuteins(セルジュ ルタンス)』のなかでもとりわけ妖艶な、「Datura Noir(ダチュラ ノワール)」をご紹介したいと思います。

フランスの知性と呼ばれる、『SergeLuteins(セルジュ ルタンス)』が考えるセクシーさとは?

その魔法のような香水をご紹介します。

滅びの美学が冴える、映画のような香り

https://www.instagram.com/p/CMZY39tMwpc/

出典:『SergeLuteins(セルジュ・ルタンス)』公式インスタグラムより

Datura Noir(ダチュラノワール)オードパルファム

トップノート:マンダリン、レモンブロッサム

ミドルノート:オスマンサス、ヘリオトロープ、チュベローズ、バニラ、ココナッツオイル、アプリコット

ラストノート:ミルラ、ビターアーモンド、トンカビーン、ムスク

発表年:2001年

調香師:クリストファー シェルドレイク

対象性別:ユニセックス

“滅びの美学”

こう形容するのが、「DaturaNoir(ダチュラ ノワール)」にとってふさわしい気がします。

そしてこの香りは、2006年の映画「Perfume(パフューム)」を彷彿とさせます。

というのも、「Daturanoir(ダチュラ ノワール)」を男性が身にまとったら女性が群がりそうな危険なイメージがあるからです。

映画「Perfume(パフューム)」では驚異的な嗅覚を持った主人公がラストシーンで「媚薬」を調香します。

「Datura Noir(ダチュラノワール)」まさに、その言葉が似合っているのです。

2001年に誕生した「DaturaNoir(ダチュラ ノワール)」は、フランス語で「黒のダチュラ」を意味します。この香りは、2018年3月21日に、『Serge Luteins(セルジュ ルタンス)』の人気シリーズ「コレクションノワール」のなかに組み込まれました。

アサガオ科の一種であるダチュラは、とても美しい花です。

ところが猛毒をもち、強烈な幻覚剤として用いられることがあります。

これだけで、危うい感じがしますよね。もちろん実際のダチュラが調香されているわけではありません。その、世界で最も美しく危険な花、ダチュラをイメージして作られた香りなのです。

調香師のクリストファー シェルドレイクは、この危ういセクシーさを香りで表現することに成功しました。

トップノートはマンダリンとレモンブロッサム。

そこにフレッシュさは、全くありません。

熟れた、もしくは、熟れ過ぎともいえる果物の甘い香りです。朽ち果てる寸前の美をここで早くも召喚しています。

ですがその寸前がいちばん美味しい、というのもシェルドレイク氏は熟知しているのでしょう。

そして香りは3分もしないうちに次のフェーズへ。

ミドルノートでは「DaturaNoir(ダチュラ ノワール)」の主役、チュベローズがBGMを伴って登場します。

この香りの何と妖艶なことでしょう。

ヘリオトロープとビターアーモンド、そして、ココナッツオイルが混ざってうっとりするようなクリーミーさを感じます。

「滴り落ちる」ように、香りが下に垂れていくのです。

特にチュベローズの香りに興味がない、という方でもこの香りの良さには反応してしまいます。それほど、人間がクラっとするような甘い芳香を放っています。

ムスクやアンバーなど、アニマリックな香料でここまで妖艶さを表現しているのは珍しいこと。オスマンサス(金木犀)の香りも功を奏してか、非常に上品です。

これが、『SergeLuteins(セルジュ ルタンス)』が表現する「セクシーさ」だと思います。

妖艶であるためにはまずエレガントではなくてはならない。

強く香れば良いというものでもない。

その控えめな精神がますます妖艶さに拍車をかけ、香りを魅力的なものにしています。

ラストノートでは一転、香りがフラットになります。

まるで「落ちるところまで落ちた」と表現しているかのようです。

しかしその香りはとても優しく、安定しています。

トップノートからミドルノートにかけての登場シーンがあまりにも鮮やかだったため、ラストでは落ち着いた雰囲気に。

大人の香水とはこうであるべき、と言わしめているような香りです。

やはりずっと「忙しい」香りでは、人間も疲れてしまいます。

メリハリのきちんと効いた、それでいてこの上なく妖艶な、稀有な1本です。

これぞ、『SergeLuteins(セルジュ ルタンス)』。

香りの変化が目まぐるしく、いちばん妖艶な部分はスッと引いてしまうほど短いのですが、その落差が「DaturaNoir(ダチュラ ノワール)」をより魅力的にさせているのだと思います。

危険、妖しさ、色っぽさを『SergeLuteins(セルジュ ルタンス)』なりの知性と品の良さで表現した、素晴らしい作品です。

男性がまとえば危険、女性がまとえばモニカベルッチに?!

https://www.instagram.com/p/CMUj8DcL0cg/

出典:『SergeLuteins(セルジュ ルタンス)』公式インスタグラムより

「Datura Noir(ダチュラノワール)」は大人の男女限定です。

30代後半以降の、むしろ大人にしか似合わないフレグランスです。

少し女性よりの甘い香りではあるのですが、男性がまとえばとても危険。猛々しさがありませんので、逆の意味で女性ウケするのです。

これほどまで甘い花の香りをまとった男性はなかなか存在しません。

その意表を突いたところが、皆の注目を集めるはずです。

ですが、どちらかというと線の細い方、年齢が高めの方に似合うかと思います。

「Datura Noir(ダチュラノワール)」が似合わない大人の女性というのは、逆に見つけるのが難しいかもしれません。

どんな女性も妖艶に変身させてしまう、本当に罪作りな香り。

「イタリアの宝石」と呼ばれる、モニカベルッチが主演した映画『マレーナ』のような、少しアンニュイで妖しい魅力を身に着けることができるでしょう。

どこか誘っているようなこの甘美な香りは、絶対に誰とも被りません。

季節は秋冬が良いと思います。

滴り落ちるような「DaturaNoir(ダチュラ ノワール)」の香りの魅力は、寒い時期に発揮されます。

そして、時間帯はもちろん夜。

寝香水としても最適な香りです。

まとめ

香水のメッカ、フランスを歩いていても、「DaturaNoir(ダチュラ ノワール)」だけは誰からも香ってきたことがありません。

クリーミーで独特な香りなのに、しっかりと肌と同化してくれて、品の悪くなる一歩手前でニュートラルさを保っています。

想像力を掻き立てられる、『SergeLutens(セルジュ ルタンス)』の作品のなかでも、「傑作中の傑作」といって過言ではないでしょう。

こんなに素晴らしい香りを生み出す『Serge Lutens(セルジュ ルタンス)』、やはりお見事です。