最も爽やかで躍動的。
そして、ユニセックスフレグランスの先駆けと言えば『CalvinKlein(カルバン・クライン)』の「ck one(シーケー・ワン)」に他なりません。
1990年代後半のカルチャーシーンに欠かせなかった存在で、今まで香水に疎かった人々が初めて手に取った香り、という上では「ckone(シーケー・ワン)」は間違いなくフレグランス業界に革命を起こたと言えるでしょう。
『Calvin Klein(カルバン・クライン)』とは、そもそも1968年にニューヨーク出身のカルバン・クライン氏により設立されたアメリカのファッションブランドです。
日本ではアンダーウェアやフレグランスを中心に展開していて、その中でも都会的なイメージのあるフレグランスは男女問わず大人気。
特に「ck one(シーケー・ワン)」は破壊的な人気を誇り、当時のスーパーモデル、ケイト・モスが広告塔を努めていました。
そのヴィジュアルは、美しさと軽快さとアクティブな印象を皆に与え、従来のフレグランス広告によくある「敷居の高さ」を感じさせないものでした。
もちろんその香りはPRに負けず劣らずの実力派です。
それでは、なぜ「ck one(シーケー・ワン)」がここまで伝説的なフレグランスとなったのか、90年代の時代背景と共に振り返ってみたいと思います。
混沌とした90年代に突如現れた、ハレー彗星のような「ck one(シーケー・ワン)」

出典:『CalvinKlein(カルバン・クライン)』公式インスタグラムより
ck one(シーケー・ワン)オードトワレ
トップノート:ベルガモット、カルダモン、パイナップル、グリーンノート
ミドルノート:ジャスミン、ヴァイオレット、ナツメグ、ローズ
ラストノート:ムスク、アンバー、グリーンティー
調香師:アルベルト・モリヤス、ハリー・フレメント
発表年:1994年
対象性別:ユニセックス
「ck one(シーケー・ワン)」が発売されたのは1994年。
90年代は日本だけでなく世界中が混沌とした時代でした。迫りくる経済の不安に人々は疲れ果て、16ミリフィルムの映像のようなざらついた世界に住んでいたのです。
音楽やファッションといった文化では強く「アイデンティティ」が求められ、80年代のポップミュージックや香水のコンセプトにありがちだった、「あなたのために」というワードに皆が飽き始めていました。
仕事でも、男女平等意識が高まったのが90年代です。
アメリカを筆頭にフェミニズムが台頭し、また性別に限らず政治や宗教、階級、性的志向など幅広い分野で「リベラル」が求められるように。
もちろん香水もその時代の要素を色濃く反映しますから、そういった意味では「ckone(シーケー・ワン)」は90年代に来るべきしてやってきたスターのような存在だったのです。

出典:『CalvinKlein(カルバン・クライン)』公式インスタグラムより
こうしてフレグランスの主流は「あなたのために」から「私のために」に移行していき、「ckone(シーケー・ワン)」を皮切りにユニセックスフレグランスが台頭するようになりました。
2020年代に入るとジェンダーフリーの概念はもはや当たり前となるのですが、香水業界においてその盤石の基礎を作り上げた「ckone(シーケー・ワン)」の功績は余りにも大きかった、と言えます。
クリーンで平等な香り
香水ボトルらしからぬその見た目に新鮮さを感じた人も少なくないと思います。
携帯のウィスキーボトルのようにスリムなフォルムで持ち運びしやすく、香水は「家でこっそり着けるもの」という従来の概念をも変えてしまいました。
やはり「ck one(シーケー・ワン)」の魅力はそのシンプルさにあると思います。
哲学的で複雑なフランス製の香水と違い、並外れた「透明感」を感じさせる香り。そこに華やかさはないものの、極めて実用的です。
ドレスアップの必要性もなければ、香りを身にまとう時のちょっとした「敷居の高さ」も取り除いてくれました。

「ck one(シーケー・ワン)」のクリーンさはどこから来るのだろう?
と疑問に抱いたところ、そこには明快な答えがありました。
このオードトワレのメインとなる香りはベルガモット。
ベルガモットは別名ベルガモット・オレンジと言い、イタリア南部原産のミカン科の植物です。
さんさんと降り注ぐ地中海の日ざしを浴びて実るベルガモットは、太陽のように明るくポジティブなイメージがありますよね。
この香りはアロマの世界でも良く用いられ、リラックス効果や気分を高める効果があり、ストレスや不安の解消に強い味方となってくれます。
「今までベルガモットを基調とした香りは存在しなかった」と「ckone(シーケー・ワン)」の生みの親である調香神、アルベルト・モリヤスが語っています。
このベルガモットの香りこそが「ckone(シーケー・ワン)」の透明感の要であり、アニマリックな表情を一ミリも感じさせない淡麗な仕上がりとなっているのです。
例えば、80年代に大流行したクリスチャン・ディオールの「プワゾン」が“週末のイベントに向けて気張る香り”なのに対し、「ckone(シーケー・ワン)」は永遠に“月曜の午前中”。
若者の“希望に満ちた日常”をそのまま表しているかのようです。
シンプル、クリーン、爽やか、軽快といった言葉が良く似合う「ckone(シーケー・ワン)」は、1990年代以降に求められる思想の「透明感」「フラットさ」をも体現していました。
世界中のあらゆる人種の人々が一つになろう、との意味が込められている「one」。
その香りに必要だったのは“深み”ではなく、男女や民族の垣根を超える“平等性”だったのです。
こだわりをこだわりと感じさせない魅力「ck one(シーケー・ワン)」

出典:『CalvinKlein(カルバン・クライン)』公式インスタグラムより
「ck one(シーケー・ワン)」は、とても使い勝手の良いオードトワレです。
こだわりをこだわりと感じさせない実力があり、わざとらしくないのです。
この香りはフォーマルな装いよりも、絶対的にカジュアルなファッションが似合います。
もっと言えば、トレーニングウェアでも下着姿でいても「これが私」と胸を張ることができる、健康美を取り持ってくれるフレグランスと言えましょう。
オードトワレにしては比較的長く香るので、清潔感のある好ましい香りが一日中続きます。
やはりぴったりくる年齢層は18歳~25歳。
学生さんや新入社員といった、全てが輝いている青春時代にとても良く似合う香りです。
ユニセックスなのでカップリング香水としても活躍するでしょう。
若い方のファーストフレグランスとしても良し、そしてそれ以外の年齢層の方には“永遠に色褪せない青春の香り”として、いつまでも記憶に残るはずです。
まとめ
「ck one(シーケー・ワン)」は、香りの奥深さを楽しむためではなく、あくまでも自分が心地よくいるために作られたフレグランスです。
ユニセックスは本来、「男らしさや女らしさといった性別による固定概念に囚われず、それぞれの個性や生き方で自己決定できるようにしよう」という考え方を含んでいます。
「○○らしさ」からの解放、というコンセプトをいち早く香りで表現した「ckone(シーケー・ワン)」は、世界中の人々の「嗅覚の扉」を解放しました。
時代が進むにつれて、今度は逆に「ユニセックスはこうあるべき」との考え方も目立ち始めてきていますが、そんな時はやはり原点回帰に限ります。
「ck one(シーケー・ワン)」のまっさらで軽やかな香りが、皆さまの「自分らしくあり続ける」助けになることでしょう。


